私達は九州コースを修了された方をサポートするために活動しています。

同窓会たより-2024年度

同窓会たより-2024年度

九州幼児教育センター設立50周年に想う

同窓会会長 力丸敏光         
二日市カトリック幼稚園
                            
今年度は、九州幼児教育センター設立50周年の年です。それに伴い、センターの補修などを行うために、クラウドファンディングが行われました。もちろん私たちが学んだ場所とお世話になった先生方のためにという想いから、同窓会としても全面的に協力させていただきました。目標額はかなり難しい数字なのではと心配する面もありましたが、締め切り最終日前日に目標達成の知らせを受けた時には、我がことのように感動しました。同窓生の方々のご協力と熱い思いに感謝しかありません。皆様がともに学んだ九州幼児教育センターが、これからもモンテッソーリ教育に携わっていく方々を育てていって欲しいという気持ちなのだと思います。この絆を私たち同窓会の役員が大切にしていかなければと思わせていただきました。11月2日には50周年記念の祝賀会もございます。皆様とお会いして、長い歴史の中で、ここまで支えていただいた同窓生の皆様といろいろなお話が出来ればと思っています。

 また、今年度は日本モンテッソーリ協会(学会)第56回全国大会in福岡がホテルニューオータニ博多と電気ビルで行われましたが、現地に650名ほどの参加とアーカイブで150名ほどの参加者があり合計で800名ほどの大会となりました。たくさんの方々の支えとご協力により、終えることが出来ました。そこで懐かしい先生方との再会や新しい出会いをいただきました。その出会いや学びがこれからも子どもたちのために頑張っていこうという気持ちにさせていただいた場になりました。実行委員をさせていただいた私から皆様のご参加とご協力をいただきましたことに、心より感謝致します。ありがとうございました。
 この50周年の節目の年から、さらに充実した同窓会活動ができるように、皆様とともに進んでいければと思います。今後ともご協力を宜しくお願い致します。

~九州幼児教育センターより~ 【50周年特別記念イベント】
 11月2日(土)
      午前 「モンテッソーリ・フィールドチャレンジ ~ MF2024」
         特別講演:佐々木 信一郎氏(日本モンテッソーリ協会(学会))
      午後  50周年、みんなでお祝い!交換パーティ!!
     詳細のご案内は9月下旬から順次HP、インスタグラムにてご案内いたします。
     お楽しみに!11月にお会いしましょう!

50周年を迎えて

九州幼児教育センター
トレーニングコース コース長 藤原江理子

 まずは、同窓生の皆様に50周年の特別企画のクラウドファンディングに多大なご支援とご協力を頂いたことに心から御礼を申し上げたいと思います。

50周年という特別な区切りに、各期を越えて皆が協力し合えることはないだろうかと考えたのが企画の発端です。皆で何か形にして、やがてセンターにやってくる新しいコース生への先輩達からのエールになるなら素晴らしい、と。丁度、講義室の壁や黒板の塗り替え、猛暑に耐えうるエアコンの買い替え等を検討する時期でした。皆が集う講義室が先輩たちの力で生まれ変わり、快適な環境を整えることでこれからのコース生を迎え入れることができるならどんなにいいだろう…しかし300万円という額は、クラウドファンディングの担当者が募るのは大変ですよという大金です。集まらないかもと誰より思っていたのは私だと思います。挑戦したよね、という思い出作り程度の気持ちでいようと考えていた私の思惑に反して、同窓生の皆さんの寄せて下さるお気持ちやお言葉は熱く深いものでした。モンテッソーリ教育に出会えたこと、仲間に出会えたこと、今も保育を続けられていること、頑張った記憶が自分を支えていること。その想いが積み重なっていくにつれ、集まらなかったら全額お手元お返ししてすむようなことではないと実感するようになりました。締め切り近くなって毎日、毎時間のようにページを覗いてはハラハラして下さったり、我慢できずに追加のご寄付をお寄せ下さったり。達成した瞬間から我がことのように喜んで電話やメッセージをお寄せ下さいました。今、目標額を達成し、私はご支援くださったお一人お一人のお顔を思い浮かべ、お気持ちの一つ一つに心から申し上げます。本当にありがとうございました。コースにとって、まさに皆さんの想いこそが宝であり、次世代に繋ぐべきものだと確信できた日々でした。

 思えばコースの50年は、いつも多くの方々のご理解とご支援で成り立っていた歳月でした。モンテッソーリ教育を学びたいと情熱をもって集った方々の周りには、いつもその学びを支えて下さる多くの方がおられました。始まりの時代に決まった研修場所を持たなかった頃、場所を提供してくださった修道院や幼稚園・保育園、大学。学ぶ間の留守を各々の場所で守って下さっていた方々。金銭的・物的面だけでなく、精神的に祈り、支え、励ましの言葉をかけて見守り続けて下さった方々。快適な学びために多くを差し入れて下さった方々…私たちは有形無形の思いやりの内に半世紀の長きにわたってコースの襷を繋ぎ、次の半世紀へ手渡そうとしています。皆さんの下さったお気持ちがこれからのコース生を支えることでしょう。そしてモンテッソーリ教育が結ぶ絆の強さを伝えることでしょう。コース生活で心に積んだ財産は風雨にも時間に摩耗することはなく、私たちは同窓という共通の記憶を分かち合いながら、これからの歳月も先人たちの切り開いた道をお互いを慈しみつつ、歩んで参りましょう。心からの感謝を込めて。

SSコースを受講して

石橋 あかね                                                二日市カトリック幼稚園

 私はモンテッソーリ教育を行っている幼稚園に勤めており、園からSSコースで受ける機会をいただいたため授業を受けることになり、様々な学びや発見がありました。

 はじめに、モンテッソーリ教育の子ども観についてです。私は保育する上で、子どもと積極的に関わって信頼関係を築きたい、子どもが何かをできるようになるために手伝ってあげたい、困っていたらすぐに助けてあげたいと考えていました。しかし、モンテッソーリ教育は子どもを観察し、分析することが必要と知りました。観察しありのままの子どもの姿から、間接的にこの子はなにができるのか、何に困っているのか、そしてどのような環境設定を必要とするのかを分析することが重要と分かりました。私たちが、どうしたら子どもが自然と惹きつけられるように興味を持つことができるのか、どうしたら子どもの目から見ても分かりやすくなるのかを考え、環境を整えていくことが必要であると分かりました。子どもには困難を乗り越える力は備わっているため、分かりやすい環境の設定(準備、作業、片付けを自分で完了させられる)で自立できると知りました。確かに保育現場で、子どもに何も教えたことがないのにすっと教具を手にして作業に移ることがありました。目的が1つで分かりやすいことには子どもは自然と興味を持ち、取り組むことができると実感しました。何かを達成した子どもは、達成感や充実感に満ち溢れ、それを見たときに私もこれがモンテッソーリ教育だと実感しました。

 次に提示についてです。想像していたよりも多くの意味が込められていて驚きました。まずお仕事には目的があるためそれを達成するために提示することが必要でした。目的を達成するために動きを見せたり、時には子どもが気づきを得ることができるように問いかけたりすることが必要と分かりました。私は、動きを分離するということが印象的でした。初めて提示を見たときは、こんなにゆっくりするのか、ここまで大げさに動かないといけないのかと感じましたが、子どもの目で理解できるスピードに合わせていると知ったのと共に、子どもの発達をよく理解した援助であると感じました。提示中に使う言葉も、物の名称や動きを明確に表すことで子どもが自然と語彙を身につけ、動作と言葉の一致ができるのではないかと考えました。

 1年間のSSコースを通して、より深く子どもの発達のおもしろさや、神秘的な部分を知ることができました。私たちモンテッソーリ教師は、それを理解し私たちの役割は何なのか考える必要があると学びました。子どもたちが自分で自分の進む道を決めていくことができるよう、私たちは目的を明確にしながら観察、予測、作業、記録、分析し、子どもたちに環境を提供していくべきであると学ぶことができました。

全国大会に参加して

35期生 江崎友美
風浪宮保育園

 8月1日(木)~3日(土)に行われた全国大会に、私は2日間参加させていただきました。いろんな講演、講座、ワークショップや研究発表、映画と盛り沢山でした。特別講演として、佐々木信一郎先生と衛藤吉則先生による「モンテッソーリ教育とシュタイナー教育」についての対談がありました。私はシュタイナー教育の話を聞くのが今回初めてでした。畑や粘土、砂場や花壇作りなどを通して土に触れる経験、陶芸、見立て遊びや色で遊ぶことなどのエポック授業で、生きる糧となる学びをすることを知りました。子どもの心と意思を育てるために集中没入が大事で、危険がなければ子どもの行動を認めて見守り続けるということを聞き、アプローチの仕方は異なるけれど、モンテッソーリ教育と共通することがたくさんあるのではないかと思いました。
市民公開講座「心がかぜをひくとき」では、心理学を学ばれた吉村春生先生の考えを聞く事が出来ました。不安感、怒り、悲しみという3つの負の感情を溜め込みすぎると、心がフリーズしてしまい、頑固になったり融通が利かなくなったりして、問題児と呼ばれる行動を起こすと聞きました。そのフリーズをクリーンアップする方法の1つが何かに夢中になることだと聞き、またモンテッソーリ教育とのつながりを感じ、モンテッソーリ教育の重要性を再確認する事が出来ました。
毎日子ども達と過ごす中で、子ども達が発する言葉や行動で気になる事が増えてきたなと感じます。
「なんで、この子はこういうことをしたのだろう?」と保育士間で話すこともよくあります。さまざまな家庭環境の子ども達と接する私たちができることは、環境を整えることだと改めて感じました。子ども達一人ひとりをよく見つめ、子ども達の集中現象を引き出すことで、安心感へとつながる環境作りに努めていきたいと思います。

~同窓会研修~
モンテッソーリ教育における発達支援の可能性と未來    2023年11月4日     
講師   佐々木信一郎先生
(会場 二日市カトリック幼稚園)
                8期生 下條富子   リバーウオークこどもの家
第1部 インクルーシブ教育とは・・・
包摂教育 全てのものを受け止めて、その中に受け入れていく教育モンテッソーリ教育とインクルーシブ教育は似ているインクルーシブ教育は最近になって言われ始めたことだが、モンテッソーリ教育は100年も前から行われている。個別化と主体的な学びのための環境によるモンテッソーリ教育の学び 子どもの興味感心(発達課題)→ 主体的な自己選択 → 集中現象 → 満足感・達成感 → 結果的にさまざまな能力が身に付く → 主体的・意欲・自己選択力・自信・自己肯定感・挑戦力が育まれる →・・・ このスパイラルによって、正常化になっていく。正常化とは、子どもが本来あるべき姿になっていくこと。生まれた時はみんな同じように”良い”状態であるが、環境によって逸脱していく。子どもの行動に意味の無いものは一つもない 突然パニックになって泣き出す子どもに対して、どうして良いか?わからない時なぜ?どうして?ということに対して、現代科学で読み解いていく。それには知識が必要になってくる。モンテッソーリ教育として考えなければならないことは・・・本当の意味で、個別化と主体的な学びのための環境によるモンテッソーリ教育になっていかないといけない。例「モンテッソーリ教育しています」と言いながら、ある時間になると一斉にトイレに行くよう促すまた、一斉に集めた保育をしてしまう(一斉保育の三種の神器ブロック・絵本・クレヨン画) → こうだとインクルーシブ教育は上手く機能していかない

第2部 モンテッソーリ教育実践者が考えなければならないこと・・・
私たちは自分が育てられたように子どもを育てる
ステレオタイプ 私たちは子どもに対する様々な固定的なイメージを持っている。育った環境から固定概念を植え付けられている。子どもはみんな同じだから、同じようにできるのは当たり前と思っている人が多い。こういうイメージを持っている人は・・子どもはある時間になったら一斉にトイレに行くのは当たり前、子どもには危険なものを与えてはならない移動するときは必ず2人ずつ手を繋いで、年齢が同じだから子どもを一斉に集めて保育士しても良い子どもは褒美を与えないと大人のいうことは聞かない これができたら、これができるよなどの声かけをする等。モンテッソーリ教育を学んだ人でも、実は上手く子どもを誘導して子どもをそうするように持っていく人もいる。定型発達の子どもは先生の忖度をするので、したくなくても聞いておいた方が良いと思えばする、先生が怖いからするということも多い。子どもとはこういうものだと刷り込まれていて、それができない子どもはダメな子どもになる。しかし、個別化してよく観察してみると、それぞれがみんな違っていることがわかるので、一人一人異なる子どもの在り方、個人差を尊重した教育を実践し、ひとりひとり全部違うということを受け止めていくことが必要である。
教育における子どもの自由とは・・・ 私たちは、本当の意味で自由を理解しているのだろうか?自由の考え方は、その人の生育歴の中でどんな扱いを受けてきたかで決まる。なので、自分自身の生き方を見直し、自由の意味を問い直すことが必要になる。
  外発的動機づけ  労働のようにしなければならないこと この時の動機は、罰・報酬
  内発的動機づけ  遊びのようにしなくても良いことをすること この時の動機は、知的好奇心・興味・関心・自分を成長させること 達成させたいこと
 *子どもの教育には内発的動機づけが必要である。
外発的動機づけになると、本当に興味を持っていることであっても途端に興味を失ってしまう。

まとめ
 モンテッソーリ教育を頭では理解していても、実際はどう行っているかを振り返ることが大切であるということをこの研修を通して学ばせていただきました。この研修ではインクルーシブ教育とモンテッソーリ教育とは考え方が同じであるということがよくわかり、これからはインクルーシブ教育が必要になってくると思います。そのためには、自分自身の生き方を見返し、子どもというものに対しての固定的なイメージを考え直さないといけないと思いました。モンテッソーリ教育をしていると謳っていても、蓋を開けるとモンテッソーリの考え方とは違った教育をしていることが多々あるということにも気付きました。日頃の保育を振り返り、本来の意味のモンテッソ教育の視点・子どもの視点で考えられるようにしていかないと…と改めて考えさせられた研修でした。 

モンテッソーリ教育 エレメンタリー課程の面白さと必要性

特例認定NPO法人Scuola dei Bambini
モンテッソーリ・エレメンタリースクール北九州
スクールディレクター 37期 大谷育美

昨年オランダのAMI認定トレーニングコースにて、モンテッソーリ教育小学校課程(6-12レベル)を学び、ディプロマを取得してまいりました。小学校課程の学びの面白さと奥深さに、どっぷり浸かった一年間となり、このような貴重な機会に恵まれ、協力してくれた園の職員と保護者、子どもたちに感謝の気持ちでいっぱいです。

モンテッソーリ教育の小学校課程といえば「コスミック・エデュケーション」。子どもたちはより大きなスケールで私たちが生きるこの世界を捉えます。生命の連続性を感じつつ、相互に支え合い、繋いできたものの結果としての今があるということ。何一つ、誰一人とも「欠かせない存在」であったということ。これらを繰り返し、視点を変え、教科を横断しながら学習していきます。このような学習環境の中にいて私は、自分の価値観、歴史や時間の捉え方が、徐々に、そして大きく変わりました。今ここに私たちが生きていること、地球と人間社会の営みに感謝の念を抱くとともに、この先の社会へどう貢献していくかを考えさせられます。

この小学校課程での学びの根底にあるのは、‘Sensorial Explorer (感覚的探求者)’と言われる3-6歳の子どもたちの活動です。日常、感覚、数、言語、文化の領域の活動それぞれが「点」だとすれば、小学校課程ではそれらがつながり「線」になる体験をします。0-6歳での敏感期に代わる6歳以降の「敏感性」を活かし、目の前にない、見ることも触れることもできない世界をどんどん探求し、自らその知的好奇心を満たしていきます。そのときに、どれだけ多くの「種」が撒かれているかによって、点と点のつながり、線の複雑性、深み、また広がりに影響します。それらがまた相互依存という考え方や、教科横断的な学びにも発展していきます。

画像の説明

小学校課程への活動のつながりをいくつか例に挙げます。構成三角形の箱は、小学校課程の幾何学で再登場します。合同・相似・等価、面積計算やピタゴラスの定理にまで発展させていく教具へとなります。二項式・三項式は代数の教具となり、ピンクタワーは自ら発見した方程式に実数を入れていくお話に発展します。
幼少期にモンテッソーリ教育で育ち、自らの手と目を使って、とことん感覚的に活動をしてきた子どもたちに、この連続した学びの機会が提供されれば、どんなにいいかと思っています。6歳までに獲得した自由と自立(律)心をもって、どんどん学びを深め、楽しみながら学習できる環境です。小学校の授業が、受動的かつ暗記や反復練習、テスト勉強に終わるのはとてももったいないことです。学びとは本来、発見と感動の連続であり、主体的な行為であるはずです。モンテッソーリ教育の小学校課程ではそれが実現可能であり、小学生という知的好奇心旺盛な時期に用いられるのに最適な教育法の一つであると感じています。コスミック・エデュケーションという壮大な世界観の中で、小学生独特の想像力をフル活用しながら学べる、このような教育機会が、今後増えていくことを願っています。

画像の説明

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(写真)モンテッソーリ・エレメンタリースクール北九州の室内の様子。 

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(写真)地理の教具の一部。地球を様々な視点から捉えます。

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