私達は九州コースを修了された方をサポートするために活動しています。

同窓会たより-2021年度

同窓会たより-2021年度

「コロナ禍において」 同窓会会長 力丸敏光(Joyひこばえ)

 昨年より新型コロナウイルスが猛威をふるい、現在、デルタ株による第5波が押し寄せている状況です。このような状況において、それぞれの園や施設・ご家庭などで毎日、安全・安心に過ごすためにご苦労されていることだと思います。

また外出の制限や、密の状態にならにようにと多くの行事や活動が中止や変更・制限されるという状況が続いているのではないでしょうか?そのような中でも子どもたちは、一人ひとりの成長に合わせた整えられた環境で活動し、過ごすなかで確実に成長し、自立に向かっていることでしょう。この不安の中、日々の先生方のご苦労と努力に感謝の気持ちでいっぱいです。

 大人の世界に目を向けますと、私たちの研修や会議はリモートやWEBなどで行われ、大会も同様に行われています。新しい形ですが、私はなかなかうまくついていけずこの会に参加するのがやっとです。時代の進歩に遅れないようにしないとと思い、まだまだ学びは続きます。デジタル化が進む中ではありますが、子どもと共に過ごすときは、子どもとしっかり向き合い観察し、動きや心を読んで今の敏感期を感じ取り、援助・支援をする必要があると思います。AIや動画の技術が進んでも共にいることの重要性を大切にしていきたいものです。そう考え、子どもたちの環境を設定するために、コロナ禍においては、消毒や換気などたいへんなことではありますが、この状況が落ち着くまでは頑張っていきたいと思います。

 同窓会活動におきましても、集まっての研修や話し合いができない状況ですので、今後どのようにすすめていけばいいのか検討していきます。

 東京オリンピックが開催され、アスリートやそれを指導する人や応援する方々からたくさんの感動を受けました。その一人ひとりが、持っている力を信じ、自己肯定感や自尊心をしっかりと育み、自己選択し努力する姿は、乳幼児期から育まれたものだと思います。その意味においては、私たちがモンテッソーリ教育を通して子どもたちを育てていくことの重要性と重なるものを感じます。そう信じて、この大変なコロナ禍の困難を乗り越えていければと思っています。

「九州幼児教育センター・トレーニングコースの現在とこれからの展望」 コース長  藤原 江理子

 同窓生の皆さん、お元気でご活躍でしょうか。コロナ禍からの復調の兆しも未だ見通せない今年、コースは本科生の募集を行いませんでした。これは、センターがトレーニングコースとして開講して43年間で初めてのことになります。

 新入生を迎えられないことは心苦しいことでしたが、この期間を利用して私達は、未来に繋がるコースの新たな改革を模索することにしました。

今後はコースの一週間、長期宿泊しながら学ぶことも、子ども用の机に大人二人が密着しつつ、練習することも容易ではなくなるでしょう。また、受講する人々の学びに対する意識も変わる中、教員の養成のあり方も変革の時期を迎えていることを実感せざるを得ません。

 そこで、コースは今年の本科の授業を除く対外的活動(SSコース、園内研修、ワークショップ等)はすべてリモートで行うことにしました。
リモート授業の実施を通して、対面授業との比較を行い、各々の良さと課題を明確にするためです。

 嬉しい収穫は、遠方にいらっしゃる同窓生の方にリモート画面を通して沢山お会いすることができたことです。リモート研修には、園の共通理解のために理論を職員全員で分かち合いたいというご要望が多く寄せられました。西は大阪や高知から南は奄美大島まで、今も学び続ける同窓生の方々の真摯で熱意な姿勢に、私達は本当に多くの勇気を頂戴しました。遠方の同窓生と気軽に繋がる術がリモートにはあります。ワークショップも同様で、東京から沖縄の広域にわたって沢山の方にご参加頂きました。

さらにカメラの位置を工夫することで、子ども目線で教具や体の動きが見えるようにしたり、拡大することで提示がより見やすくなることも発見でした。リモートによる授業や研修はこれからの時代に合った手段の一つになりうるでしょう。

 ただ、教育は人間同士の直の関わりの中で学びあうことが大切です。時代のニーズに合わせることと、モンテッソーリ教育の根本に軸足を置くことが相反することであっても、人間の学びの本質を貫くことはコースの使命だと考えています。

 来年度コースは従来のコースの体系を一新し、若い受講生でも学びやすい環境を整えつつ、モンテッソーリ教師として不可欠なトレーニングを提供する準備を進めています。どうぞ皆さんでコースの将来を応援してくださいね! 

《第3回モンテッソーリ教育研修会 テーマ「障害児のためのモンテッソーリ教育」に参加して》3期生 森山 多美子(マリア子どもの家)

2021年7月3日(土)、水巻聖母幼稚園にて、第3回モンテッソーリ教育研修会(Zoom)がありました。講師は、佐々木 信一郎先生:日本モンテッソーリ協会(学会)常任理事。
福島大学非常勤講師。こじか「子どもの家」発達支援センター園長。福島でモンテッソーリ教育の環境で保育・療育に取り組んでおられます。
高橋 純一先生:現在、福島大学 准教授。福島市障害児ネットワーク会議会長をされています。今回は、Ⅰ部基礎編で、カリキュラムは全部で7日間、2021年7月~来年2022年6月です。

【1時限】「発達障害児のためのモンテッソーリ教育プログラムについてⅠ」

モンテッソーリ教育の目的は、全て本来の子どもというのは「進歩しようという思いに駆り立てられている人間」である(マリア・モンテッソーリ『創造する子供』)。進歩とは成長しよう、自立・自律しよう、発達しよう、学ぼう、よいものになろうという子どもの姿である。これは、文字が書けるようになったとか、足し算ができるようになったという結果を言っているのではない。数や文字、あるいは日常の様々な事に興味・関心を持って意欲的に取り組む子どもの側の状態を言っている。だから、モンテッソーリ教育の目的は、直接何かをできるようにさせることや身に付かせることではない。何かができるようになった、身に付いたというのは、子どもが自分を成長・発達するために意欲的に環境に関わって学んだ結果である。だから、「進歩しようという思いに駆り立てられている人間」という子ども本来の姿を失わせないようにすることが大きな目的になっている。そのために私達は、子ども一人ひとり異なる興味・関心をくみ取り、それに意欲的に取り組める物的環境を準備する。また、大人の環境も大変重要になる。大人は、子どもの理解者である必要がある。
どういう人達が発達障害児なのかという定義をしたい。『発達障害者支援法』(2005年4月1日施行):この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害である。 画像の説明
上記図:佐々木信一郎「発達障害児のためのモンテッソーリ教育」zoom研修2021.7.3より
実際には、分類しようとしても、なかなか上手くいかない事が分かってきた。人というのは、多かれ少なかれ何らかの偏りを持っている。スペクトラム:連続体をなしていると見た方がよい。不適応の状況になっておれば、障害ということになる。
 発達障害児の場合、一次障害はその子の持っている脳機能障害。二次障害は、その脳機能障害が周囲から理解されず、絶えず𠮟責されたり自己肯定感を落とすような関わりをされることによって後天的に起こる障害をいう。二次障害については、モンテッソーリの集中現象によってその子が変わることも事実である。しかし、それだけでは彼等を支援することは出来ない。彼等は脳の機能障害であるから。

「第53回全国大会 byZoomに参加して」 8期生 下條 富子(マリア子どもの家)

 今回の大会は四国支部の担当でしたが、コロナ禍のためZoomでの開催になりました。
大会のテーマは「子どもとともに育つ」~地球の十全さを保たせるために~です。

 日本モンテッソーリ協会の理事長である前之園幸一郎先生の講義では、モンテッソーリ博士が1949年のサンレモの国際会議で述べた内容を踏まえ、子どもの教育を通じて人類の深い相互理解や平和を築くことの大切さを話されました。

 大原青子先生の「3歳までに育む人格の基礎」の講演では、3~6の施設で入園してくる子どもの中にはすでに逸脱している子どもがいる「3歳でおむつがとれていない」「落ち着きがない」「話がきけない」等・・。これには0~3歳の“精神的胎芽期”に育つべきものをしっかりと育てておくことが大切である。3歳までに育つ精神的器官とは、「情緒」「言語」「運動」「意志」「知性」であり、これはそれぞれがそれぞれを補いながら、それによって心をつくるための器官が作り上げられると言われました。

 私は3~6歳のモンテッソーリ園に勤めていた時、3歳で入園してくる子どもが昔に比べて手先が不器用であったり、話が聞けなかったり・・と、年々逸脱している子どもが増えている現状があり、3歳までの乳幼児期の過ごし方が大きく関わっているのではないだろうか?と考え0~3歳の事を学びはじめました。そしてそこで大原先生の言われる「3歳までには人格の全ての精神的器官が形成されるため、物的環境・人的環境が大切である。」「精神的胎芽期の過ごし方が大切である。」ということがわかったのです。現在は0~3歳の保育施設に勤務していますが、やはりこの時期の環境や関わり方が子どもの人格形成の土台になっているということを実感しています。

 また大原先生は講義の中で「生命の発達の4段階のうち、第1の期間の前半(0~3歳)は成長と創造の時期です。後半の3~6歳は最初の時期の継続で、0歳から作られたものを統合・洗練される時期です。」「0歳~3歳が一生で一番大切な時期だ。」とも話されました。『幼児期には2度チャンスがある』という相良先生の著書を引用された内容では、2度目のチャンスを生かすことも大切だが、1度目のチャンスをしっかりつかみとり子どもの成長を援助するということが大切であるということをお聞きし、乳幼児期のチャンスを見逃さないようにしないと!と改めて思いました。この講演はすべての保育関係者の方にとって、子どもへの関わりを考える有意義な講演内容だったのではないでしょうか。

 他にも今回の大会ではモンテッソーリ教育は乳幼児期だけでなく、小学校・中学校・高校そして高齢者の認知症ケアにも応用されている。この教育は誕生から人生最後までの人生の四季に寄り添う生涯教育であるという講演もあり、モンテッソーリ教育が幼児教育だけにとどまらず、多岐にわたって活用できる教育であるということ、モンテッソーリ教育の新たな視点を考えさせられた実りある大会だったと思いました。

「実習園より」 あさひ幼稚園 主任 末宗 希望(29期生)

 あさひ幼稚園でのコース生の教育実習についてご紹介します。

 実習生には事前に、担当児の自由作業の記録をお見せし、5領域の作業の取り組み具合や、4週間分の日々の取り組みの様子について知ってから、予測を立てて実習に臨んでもらっています。

 実習生にとっては、慣れない環境の中、不安と緊張でいっぱいのことと思いますが、担任にとっても実習をお受けすることは、とても緊張することです。しかし、クラスの環境や自由作業はもちろんのこと、日々の保育を見直す機会であり、ひいては自分を見直す機会ともなっています。

 実習生の姿からは、「観察」や「自己選択」という言葉を盾にどこか遠慮がちになってしまったり、反対に「誘いかけ」すぎて過干渉に陥ってしまったり、そのほかにも様々な悩みにぶつかっている様子が見られます。初めて出会う子どもたちと5日間だけ関わるというのは、戸惑いや大変さがあると思います。しかし、大人にとってはたった5日間ですが、子どもたちにとっては成長過程の貴重な5日間です。担任も、覚悟をもってお預けしていますので、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。担任している者もまた、かつてはコース生として同じ悩みを通ってきた仲間ですから、安心して質問したり、相談したりしてもらえたらと願っています。

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