私達は九州コースを修了された方をサポートするために活動しています。

同窓会たより-2022年度

同窓会たより-2022年度

戦いが続く中で(平和を願って)同窓会会長 力丸敏光(joyひこばえ)

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって半年が過ぎました。いまだに戦火はやまず、兵士だけでなく一般の市民の方々にも多くの犠牲者が出ています。毎日のようにメディアを通して流れてくる映像を見るたびに胸が締め付けられます。遠く離れたこの日本で私達に何が出来るかを考えた時に、平和な時が1日でも早く訪れることを祈るしかありません。そんな中ではありますが、私たちは、ともに過ごしている子ども達が、「心からの平和」な世界の実現のために生きていく人になってくれることを信じて、モンテッソーリ教育に携わっていくことが重要なことではないかと強く思います。

また、新型コロナウイルスが猛威をふるい、現在、第7波が押し寄せて過去最多の感染者が出ている状況です。このような状況において子どもたちにかかわる現場では、3年間にわたり目に見えないウイルスと戦い、子ども達が安全・安心に過ごすために、ご苦労されていると思います。さらに、感染予防として、密の状態にならにようにと行事や活動も中止や変更・制限されるという状況が続いているのではないでしょうか?皆様の大変な努力のもと、子どもたちは、コロナ禍でも整えられた環境の中で活動することができ確実に成長し、自立に向かっていることと思います。私は、その成長していく姿と明るい笑顔に触れた時、心が癒され幸せな気持ちになれます。この厳しい状況が落ち着くまでは、子ども達と共に頑張っていきたいと思います。

 同窓会活動におきましては、今年はMFの時にリモートで同窓会総会を行う予定です。皆様と直接お会いしてお話したいところではありますが、新型コロナの感染状況が厳しい中ですので、リモートでお会いできればと願っています。(詳しくはコースのHPに掲載)

トレーニングコースから同窓生の皆様へ (九州幼児教育センタートレーニングコース長) 藤原 江理子

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。リモートという新しいツールを得て、今まで気軽にお目にかかれなかった遠方の皆様とも再び繋がる機会が増え嬉しく思う反面、未だ世情落ち着かない中、奮闘されているであろう皆様のことを思いつつ、歩みを進める日々です。

【2024年はコース開設50年!】
トレーニングコースは2024年に開設50年を迎えます。これもコースに集ってくださった皆様のおかげです。50周年に向けて少しずつ様々な企画を計画していますので、ぜひホームページをチェックしてくださいね。

【新生!トレーニングコース!!】
コロナ禍に揺れた2021年、本科生の募集を中止しましたが、その一年間でトレーニングの本質を変えずに、どの世代の先生方にも取り組みやすいシステムを試行錯誤しました。再び始動した新生コースの特徴はずばり、本科=ディプロマ取得、の考え方を撤廃した ことです。本科の授業を年齢別に分け、学びたい作業を選択可能にしました。

  • 基礎クラス…2歳~3歳半に対応可
  • 中級クラス…3歳~5歳に対応可
  • 上級クラス…4歳~6歳に対応可

本科生は皆、基礎クラスから始めますが、希望に合わせて中級・上級のクラスへの進級を自身で決められます。上級クラスまで修了した希望者のみ、二年目にディプロマ取得に挑戦できるという仕組みです。

 本科の授業ですから、すべての段階を略することなく学ぶことができ、そこは幾つかの作業を体験学習するSSコースとの違いです。ディプロマ取得を迷っておられる方でも、本科に出願しやすくなりました。さらに、リモート授業を導入し、遠方の方が長期間、宿泊しなくても受講可能な体制を構築中です。
 新生コースにぜひご期待くださいね!

【モンテッソーリ・フィールドチャレンジ~MF2022の開催:今年11月5日開催決定!】
 生命を脅かしかねない危機は、世界レベルでも生活レベルでも、私たちのすぐ傍に存在します。平穏な日々は不条理な力や一瞬の油断で打ち壊されてしまいます。私たちはそのような危機にどう向かい合い、子どもたちをどのように守ればよいのでしょう。

 モンテッソーリ協会(学会)会長、前之園幸一郎先生は最後のご登壇になるかもしれません。教育の役割の視点から、平和と子どもについてご講演頂く予定です。

 もうお一方の皆川氏は、中間市の保育園で起きた園児バス閉じ込め死亡事故後、園のリスク管理指導に当たってこられました。防犯・危機管理の視点から、日頃園に潜む危険と対処法をご教授頂きますので、ご期待ください。リモート形態ですので、多くの皆様のご参加を、お待ちしています。 皆様、MFでお会いしましょう!

話し言葉の発達を援助する方法 〜バイリンガル教育も含めて 講師 ルビー ラウ先生

 2022年5月2日 ( 福岡AMI主催) 8期生  下條富子 (Casa dei bambini)

 講演を聞いて、敏感期と話し言葉の重要性を再認識しました。言語の発達は、「すべての人間は最初の数年間は特別な能力を持っている。」6〜7歳までに多言語の環境にいれば、子どもは1言語のみならず、2言語・3言語も吸収できる、そのためには、1人1言語で一貫性を持った言語を話すことが大切だと言われました。よく、1歳までの赤ちゃんはネイテイブな環境があれば、RとLの区別がつくと言われますが、まさに6歳までの子どもは環境からすべてを吸収するのだなと改めて感じました。

 また、提示は物の名詞を与えるだけでなく、用途別の名前(例えば、“布”だけでなく、ふきん、手拭き、雑巾etc.)どのようなものであるかの形容詞も正確に!という話を聞いて、もっと自分自身の語彙を豊かにして子どもに伝えるようにしないといけないと思いました。

「子どもの言語は教えられるという意識ではなく、環境から学ぶということ」言語を教えるという意識ではなく、環境の中から子どもが自然に吸収していけるように、豊富な言語で子どもたちとの会話を楽しみ、また子どもが自ら話したいと思えるような環境になれるよう、人的環境を豊かに整えていこうと思った研修でした。

第54回モンテッソーリ大会に参加して「今、ここ」で育つ力〜集中を導くワークサイクルの意義~ 2022年7月31日~8月1日 講師 大原青子先生

「今、ここ」に集中している姿が、正常化への道につながるという話をされました。モンテッソーリ教育をなぜおこなっているのか?様々な考えがあるとは思うが、調和のとれた人格形成(正常化した子どもたち)を目指しているのではないだろうか?脳科学的に言うと、正常化とは、前頭前野の機能発達=実行機能の発達のことである。実行機能が育つと、「自己制御」「選択的注意」「作業記憶」「認知の柔軟性」「問題解決」「計画性」が育つ。そのことは、子どもの人生を幸せなものへと導く鍵にもなる。

正常化までのサイクルは、「自由選択」→ 「作業(仕事)」 →「楽しいから繰り返す」→「集中現象」(フロー)=“今、ここ” → 「正常化」=実行機能の発達“今、ここ”にすべての精神を傾けることで集中現象が起こり、実行機能が発達する。

 では、集中現象はどうしたら起こるようになるのか?それは、人的環境・物的環境に加えて、「時間環境」たっぷり作業を行う時間が必要!ICクラス(1・2歳児)では、2時間半〜3時間、3−6歳クラスでは、3時間〜3時間半は最低必要とされる。途中、10時前後くらいにざわつく時間(偽りの疲労)があるが、再び集中に入ることができるので、しっかり時間を確保することが大切。そのことで、集中現象が幾たびも起き、その繰り返しによって正常化(実行機能)の発達につながると言われました。

この講義では、子どもの作業時間を長く確保する必要性と、それにより子どもの実行機能が育つということを認識することができました。他にもこの大会では、イグナチオ教会の柴田潔神父様より、東日本大震災や5日で天に旅立った結希ちゃんの話から、普段何気なく行なっている生活があたりまえのことではなく、「かけがえのない奇跡」だと言うことに気づくことができました。

平和は力ではなく話し合い、してもらうのを待つのではなく、自分からしていこうと思うこと、人間として大切なことを改めて感じさせていただいた、とても有意義な大会になりました。

福岡AMI主催  “観察の技術 ”(3-6歳のディプロマ持った方のための講義)

をオンラインで受講した感想です   2期生 水谷純子(大濠聖母幼稚園天使の部屋)

講師のKaren Pearce先生は イギリスで30年位3-6歳クラスの先生をされ、現在 は0-18歳のモンテッソーリ学校を経営されています。AMI事務局長のリン、ローレンス先生のコースの最初の生徒さんであり、モンテッソーリ博士に直々に教えを受けられたヒラ、パテル先生に指導を受けた先生です。ヨーロッパの国々で観察の技術を講義されている大変人気の先生です。今年6月に4日間に渡って講義をしてくださいました。観察というと座って子どもやクラスを観察していくことを思い浮かべますが、それだけではなく保育しながら、今起きていることを15~20分ごとに客観的に記録する。クラス全体も見て“今何が必要か”を見れないといけない。

観察の記録

  1. クラス全員の記録(毎日)
  2. 1週間に3人を選び(先生1人で3人。慣れない間は他の先生と分けて一人の子どもを細かく記録する)どの位の時間、何を(仕事名や子どものうろうろ観察も記録)提示をした記録もする。選択は誰が(自分で選んだか、勧められたか)活動の状態(集中・気が散りながら活動、静かにしている、落ち着きがない、騒いでいる等)片付けは自分でしたか、言われてしたかなど記録します。(1週間毎日)
    記録は簡単な記号や略字で書いていきます。
  3. 記録をその日の内に個人の作業曲線に移します(毎日)
    記録例
  4. 週の半ばで作業曲線を見て、興味は何かどの方向に向かっているか、次にどんな準備が必要か考え準備する。(水曜日)
  5. 週末その子の興味、次の段階に挑戦したこと、できた事などチエックを入れます。(金曜日)
  6. 次の週は、違う3人を選び記録していきます
    観察を行って子どもの生命の開花を見ることが出来る。子どものニーズを敏感に感じ取ることが出来る。次の段階の準備ができる。環境にある障害を取り除くことが出来る。モンテッソーリ博士は「観察は練習されるべき技術である」理論的に支えられ。練習をしなければならない、時間がかかる技術であると言われました。

重要な大人の役割:整えられた環境の条件 

  • 環境の美しさは前提(箱が真っ直ぐ置かれている、絨毯が真っ直ぐ巻かれている教
      具や必要な物が欠けていない等)
  • 3時間続いた活動の時間、制限のない時間が必要になる。
    完全に集中する時間を子どもが持つ様に援助することが、私たちの最大の目的。
    子どもが体と心が一体となるような、完全な集中が起きるためには時間が必要です。
    〈ICクラス(1歳数ケ月位~2歳半位)は2時間~2時間半の活動時間が必要〉
    〈3-6歳クラスは3時間~3時間半の活動時間が必要 〉
    作業曲線に記録していくと、10:30頃子どもは少し騒がしくなる休みの時が来る。
    その後また集中を始めることがわかる。この事実を、このチャンスを逃すことは、幼児期の成長にとって勿体ない事である。
  • 提示は正確な動きで、子どもの本当の興味を引き出す
  • 秩序・・・【制限のある自由】基本的ルールを子どもに一貫性をもって示しているか
    ・子どもが何かの拍子に他の子の邪魔をしたり、活動を中断するのを許していませんか。
    ・環境の中で他人や教具を尊重しないやり方を許していませんか。
    ・先生の提示が他の子に邪魔されることは起きていませんか。

*正常化への4段階、各段階の特徴や先生の支援方法など成長に合わせて変わっていきます。観察をこのように記録していくと、それまでに見えなかった子どもの深い部分が見えてきます。私は2〜3歳児のクラス担任なので1段階と2段階の子どもです。2学期は是非観察を記録して作業曲線を記録し、子どもの重要な発達の支援が出来るように観察と環境を整えていきたいと思います。自分が変わらないといけないと思いました。

「発達障害児のためのモンテッソーリ教育」に参加して 講師:佐々木信一郎・高橋純一先生 

3期 森山多美子(マリア子どもの家 福岡)

 初回2021年7月3日~2022年6月18日最終回、全7日間(1日、50分×5時限)。受講者94名。水巻聖母幼稚園(福岡県)主催、Zoomで行われました。(詳しくは、『日本モンテッソーリ協会 第54回全国大会 発表要旨集録』14~15ページをご覧下さい。)

 受講した中で、強く心に残ったことは、私達全ての人間が、障害から健常のスペクトラムの中で生かされている、ということでした。

スペクトラム概念

 つまり、障害児といわれない子どもでも何らかの生き難さを持っていることが多々あるということ。そして、多くの凸凹を生む感覚・知覚・認知について詳しく学びました。

 外からの情報を受け止める感覚には、いわゆる五感だけではなく、前庭覚(三半規管を通して、重力、体の傾き、回転、スピードの情報を得る感覚)や、固有覚(筋肉、腱、関節などによって、自分の体の位置や動き、力の入れ具合などを感じる感覚)などもある。前庭覚、固有覚、触覚の発達は、0~2歳の日常の中での活動を通して、感覚と運動の相互作用の中で起こる。2~3歳のそれらが共同して発達していくことによって、身体意識・ボディイメージを獲得していく。

 又、認知における「記憶」は、その保持時間によって3種類に分けられる。①感覚記憶:およそ1秒以内の瞬間的な記憶。選択されなかった情報は忘れ去られる。②短期記憶:15~30秒程度の短い保持時間の記憶。感覚記憶で選択された情報が短期記憶に転送される。③長期記憶:ほぼ永久的に貯蔵される記憶。短期記憶でリハーサルされた情報が長期記憶に転送される。

 言語の発達:二項関係(自己ー他者・自己ーものという二つの関係)から始まり、9か月頃から三項関係(自己ー対象物ー他者の三つの関係)になり、意味の理解と共に概念の形成が始まる。発達障害児では、これがうまくできないために、言語発達が遅れる場合がある、等。研修の中で一番難しいと思ったことは、「先入観や偏見・差別から自由になる」ということでした。私の思いや見方のどれが先入観であり、どれが偏見・差別であるかがよく分からないからです。どうやってチェックしたらよいのでしょう?とにかく、子ども達の今在る事実を客観的によく観る。そして、他人の見方をよく聴くことが重要だと思いました。
よく観察した後は、PDCAサイクルでの支援に取り組みます。

P(Plan:計画)→D(Do:支援)→C(Check:評価)→A(ACT:改善)

障害児のためのモンテッソーリ教育

※上図「障害児のためのモンテッソーリ教育」7回目研修会より

 最後に、事例を出して、実際にどのように進めていくかの話がありました。

 この度の一連の研修会は、「入門コース」とのことでした。次に「支援者コース」、「スーパーバイザーコース」と予定されているとのことです。

 7回の研修会に参加して、単に「発達障害児」を理解するというだけではなく、“人間”を創っている様々な要素について、色々な角度から詳しく学びました。人間であるために、これだけ多種多様な能力が準備されていることにも驚きました。これでは、百人百様が当たり前と思いました。又、私の園や幼稚園でも、生き難さを持っている子どもの観察をし、話し合い始めています。カタツムリの速度かもしれませんが、彼らの手助けになれることを願って奮励努力中です。

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