私達は九州コースを修了された方をサポートするために活動しています。

同窓会だより-平成22年度

九州幼児教育センター・モンテッソーリ教員養成コース

同窓会だより H22年度

【子どもとともに】

同窓会会長 力丸 敏光(博多第二幼稚園)

 昨年、モンテッソーリ教育を導入していない園に赴任し、1年以上が過ぎました。その中で、毎日子ども達と向き合い、どのようにモンテッソーリが大切にしていた精神を入れていくことが出来るだろうかと考えています。先生方には子どもの動きをよく観察し、その成長と発達を充分に理解して、より良き援助が出来るようにお願いしました。又、一人ひとりの心の声に耳を傾け必要な時だけ援助し、本人が目的に向かって努力しているときには見守るようにお願いしました。最初は何から何まで援助することが教師の美徳のように思っていた先生達も、見守ることの大変さや大切さを感じてくれるようになり、子ども達の目の輝きが変わってきました。

 私はというと、「子ども達と畑の土を耕し、野菜を一緒に植え、収穫し、調理をして食べる」いわゆる食育を進めています。その中で、コスミックの考えや、日常生活の領域の野菜切りが役に立ち、調理の時には動きの分析や提示を考え、子ども達が出来るようにしています。また、木工を昨年から始めたのですが、部屋がないので屋外のテントの下で、ビニールシートをひいてテーブルを置き、子ども達と一緒に色々な物を作っています。今年は下関のめぐみ幼稚園を訪ね、木工の作業をしている現場を見せていただき、更に子ども達にいろいろと伝えることが出来ています。子どもと共にいながら、その成長を援助し、「世界の平和は幼児期の心からの教育」という教えをしっかりと持ち続け、お世話になってきた九州コースと同窓会の皆様のために、これからも理事や会員の皆様のご支援をいただきながら頑張っていこうと思っています。

 新同窓会役員体制で2年目の同窓会活動ですが、研修会・会員相互の交流などを柱に行っていく予定ですので、同窓会行事にも積極的にご参加いただきますようお願い申し上げます。最後になりましたが、九州コースの益々の発展と会員の皆様のご活躍とご健康を心からお祈りしています。

【2009年度研修報告】

     日時:2009年7月26日
     場所:宗像第一幼稚園ホール
     出席者数:50名

 2009年度の同窓会主催の研修会は、今国際的にご活躍の深津高子先生においで頂きました。テーマは「モンテッソーリ教育の普遍性とその広がり」という大きい観点からの講演で、ご自身のピースボート上での保育実験体験や世界平和を通して、一人ひとりが自立して自由でなければならない。また、個性や人格を育てる乳幼児期からの教育である事をあらためて考えさせられました。当日は大雨の中、ご出席いただき、有難うございました。

研修委員 25期 十時 須摩

【夢「M・A・P・A」 「マパ」】

エリザベト音楽大学教授 相良 敦子

 今年の4月から九州幼児教育センター同窓会の顧問という役割をいただきました。大変嬉しいことです。私は九州幼児教育センターを立ち上げる準備期間の1974年4月から1975年3月までの一年間の全ての講義を担当させていただきました。一年間を通して連続して話す機会をいただいたおかげで、モンテッソーリ教育の諸要素を「生命」という視点から体系化する作業ができました。この一年間の講義録を、『モンテッソーリ教育の理論概説』(学習研究社)として出版したのですが、この本がきっかけとなって私のモンテッソーリ教育会での仕事が広がっていったので、九州幼児教育センターでの初年度に講義を担当させていただいたことが私のモンテソーリ教育界での活動の出発点となったわけです。その意味で、同窓会の顧問になることは嬉しいことなのです。

 さて、今年の4月から私にとって、もう一つの新しいことがあります。それについて、下記のような挨拶状を知人友人に送らせていただきました。

 「私は、広島市にあるエリザベト音楽大学の近くに構えていた住居を福岡市に移しました。エリザベト音楽大学教授という肩書は今年度も続くのですが、72歳という年齢になったために、大学の授業は集中講義をするのみとなりました。それで福岡市に住み、新しい生活をスタートしました。

 大学での週日の授業や業務から解放された自由な時間を活用する夢がたくさんあります。その夢の一つは、アジアのセンターである福岡市に住んで、東アジアを視野に入れた活動をすることです。今、モンテッソーリ教育を実践している仲間と、略称「M・A・P・A」(通称「マパ」)“Montessori Asia Parents Association”という活動を構想中です。モンテッソーリ教育を手掛かりとした乳幼児教育と親支援の活動を、台湾、中国、韓国、日本で交流し合い、親交と研究を深めようという夢です。何らかの見通しが具体化してきたら報告しますので、ご協力をお願いいたします。・・・・」

 上述のように未だ構想中で、夢の段階ですが、この夢を描き始めた動機を少し述べさせていただきます。私は、この10年間ほど毎年夏にフランスで近年の動向を語るあるセミナーに参加しています。そのセミナーのテーマの取り上げ方を見ていると、ヨーロッパでは、EU共同体をはじめ、いずれ世界は、アフリカ共同体、アジア共同体という考え方になっていく、それは遠い先のことだとしても、時代が流れる方向はそちらなのだと思わせられます。そんな動向が語られたあるセミナーで、アジアについてのある文書の一節が強く私の心を捉えました。それは今まで何度も聞いていた内容だったと思うのですが、欧米文化との比較でフランス語で語られたので、その表現が新鮮に感じられ強く印象に残りました。後にその日本語訳を見つけたので、その一部を紹介しましょう。

 「アジアの人々は、沈黙と観想を愛し、誠実さ、調和、偏見のなさ、非暴力、勤勉、秩序、つつましい生活、・・・に誇りを持っています。彼らは、いのちに対する尊敬、すべての生き物に対する共感、自然との調和、親や年配者や祖先に対する畏敬、高度に発達した共同体感覚といった価値観をこよなく愛しています。・・・アジアは、諸宗教と諸文化が数多く混在する中で、驚くべき調停能力と相互の民族を豊かにするものを受容し合う傾向を示してきました。」この文が強く心に響いた頃から私の関心はアジアに向かうようになりました。

 昨年9月、鳩山元首相が「東アジア共同体構想」を打ち出した頃のこと、モンテッソーリ教育でアジアのセンター的な働きを続けてこられた福岡市のエミール保育園の園長・副園長両先生と、教育レベルでの東アジア共同体構想的な夢を話し合いました。「アジア」という一言で括れば範囲が広すぎるので、先ずは、東アジアの韓国・台湾・中国・日本の四カ国に絞り、モンテッソーリ教育を手掛かりとした乳幼児教育つまり0~6歳の教育、そして、この時期の子どもをもつ親支援を共通項に交流し研究し合うセンター(協会)のようなものを立ち上げようという夢なのです。その夢を先ず9月に台湾で沢山の人と語り合い、12月に福岡市で沢山の方々と語り合い、できればその次は筑波で、その次は韓国でと舞台を移し、みんなで「マパ」を作り上げていきたいというもので、ガッチリした組織を最初から考えているわけではありません。

 0~6歳の時期の人間とその時期の子どもを持つ親は、生命の法則・自然の法則に沿わねばうまくいかない現実に置かれています。この一点では国や文化を越えて通じ合えるのですが、前述したようなアジア人の感覚での交流においては、きっとアジア固有の豊かさが浮かび上がってくるにちがいありません。さらに、アジア人が誇りとする誠実さ、調和、非暴力、勤勉、秩序、つつましい生活、などが子どもの内面から自ずと形成される過程を相互に確認し合うことができるでしょう。アジアの人々がそれを語り合い、積み重ねていく中から、人間本来の喜びや平和希求の傾向を語る新しい言葉が表れるはずだと私は予感します。そして、それは世界の教育界への新しい貢献となるはずです。

 「アジアの時代」が開いていくこれからの時代の流れを見通して、日本という枠組みを超えて「乳幼児期を生きる人とそれを支える人」たちの東アジアにおける連携の絆を作っていきたい!そんな夢を描いています。この趣旨にご賛同くださる方は何とぞ仲間になってくださいますようお願い申し上げます。

【名島保育園の未満児クラスについて】

福岡市・名島保育園 3期生 森山 多美子

 0~3歳のモンテッソーリ教育(AMI)を導入して9年目になります。本来は家庭で過ごす時期なので、なるべく家庭に近い環境にしたいと考えています。特に、0歳児の部屋は台所の匂いが伝わるよう対面式キッチンを設け、各々の子どもに合わせた離乳食を作っています。

 1歳4~6ヶ月になると、(1)情緒が安定している。(2)達者に歩く。(3)言葉がだいたい理解できる。(4)自分でほとんど食事ができる。(5)排泄の練習が進んでいる。--ことを目安に、次のクラスに移行するための準備を始めます。体調がよい日を見計らって、(保育士)1対(子ども)1~3で、約1ヶ月をかけて1・2歳児の縦割りクラスの活動に少しずつ参加させてもらいます。

 移行が完了した後は、更なる自立を目指すための1・2歳児の環境が準備されています。作業の中での日常生活の練習はもちろんのこと、生活に沿った昼食のための配膳(1歳児は自分の分の食器を一つずつ運ぶ、2歳児は自分の分のご飯やお味噌汁を注ぎ分ける等)や片付け、着脱などです。生活力のある子どもをめざして、年齢と要求に応じて「一人でする」ことが出来る環境を準備することを大切に考え模索しています。

【子どもが祈り始める時】

福岡市・大濠聖母幼稚園 2期生 水谷 純子

 モンテッソーリ教育をしている園は沢山ありますが、モンテッソーリ教育法を取り入れた宗教教育を実践している園は多くありません。そこで当園ではこの方法で日々子ども達に神様の事を伝え、神様に近づきたいと思っている幼児期の子ども達に合った環境を準備して、提供を行っていますので、そのことを少しお話させていただきます。

 大濠聖母幼稚園では、10数年前子ども達にどのように神様の事を伝えていったらよいか模索している頃、イタリアにあるモンテッソーリ宗教コースを出られた先生に出会いました。それは神学者ソフィア・カバレッティー先生が考えられた、モンテッソーリ教育法によるキリスト教を伝えるものでした。私は今までいろいろな方の宗教に関するお話を聞いてきましたが、一番わかりやすく神様の事がよく分かり、神様に大切にされている喜びを感じました。きっと子ども達にも理解しやすいのではないか、子どもに是非提供したいと思い教具作りが始まりました。

 教具が揃った所から子ども達に提供を始めました。「良い羊飼いの例え話」の所では、提供を見たり、子どもが自分で羊を動かすことで良い羊飼いのイエス様が羊を大切にしている事を感じ、又自分は神様に大切にされていることに幼子が気づく事に驚くと共に、幼子は守られていること保護されていることを喜ぶ事に気づきました。そして何回も繰り返しその教具で活動し、神様に守られている事を心から喜ぶ子ども達がいました。ソフィア・カバレッティ先生の本「子どもが祈り始めるとき」に・・・子どもが神様と出会うように私達が手助けするとき、私達は子ども達のメッセージに応えているのです。それはまだ言葉にはなっていませんが、「神様と仲良くなれるように手伝ってね。私がほんとの私であるように助けてね」というこどもたちの要望なのです。・・・提供をした後に、子ども達と一緒にお祈りをします。子どものお祈りをご紹介します。「神様いつも守ってくださって有り難う」「私の近くにいてくれて有り難う」「神様が守っていた」子どもから出てくる言葉は短いですが、讃美と感謝のお祈りです。神様と仲良くなりたいと思う幼児期に、この環境を子ども達に提供できる事は大きな平和な喜びです。その喜びを皆様にお伝えしたいと思い筆を取らせていただきました。

*家族心理研修会からお知らせです*

年に3回ほど東京から家族心理士を長年されている先生(サレジオ会シスター)に来ていただき、子どもの心理や多様化する保護者の心理や対応の仕方・相談や苦情の聴き方などの学びを行っています。関心がおありの方はFAXにて{研修会のお知らせを送って下さい・園名・名前・FAX番号などお書きになり}お申し込みください。
場所は福岡市にあります大濠聖母幼稚園にて行っています。
FAX番号 092-725-0773(大濠聖母幼稚園)

【モンテッソーリ教育との出会い】

あさひ幼稚園 28期 木村 麻衣

 モンテッソーリ教育に出会って、6年目を迎えました。子ども達との日々の関わりの中でモンテッソーリ教育や教具を通して、私自身の教師としての自覚や子どもの見方への積み重ねとなっています。

 子どもには興味や関心を持つ時期があります。その興味や関心を弾き出してあげるためには、まず子どもを観察することが大切です。最初は子どもの行動がすぐに気になってしまい冷静に落ち着いて見守り観察することが思うようにいきませんでした。しかし、子どもの成長や変化に気づき一緒に喜びあえることで、子どもへの見方が変わってきたように思います。忍耐力そして観察力を付けることで、一人ひとりの子どもと真剣に向き合い、信頼関係へとつながることを学びました。

 日常生活訓練を通して、発達の手助けとなったり、集中力や自立心を養うことも子どもから学ぶことが出来ました。困難を一つずつ乗り越えていく姿や繰り返し作業する姿を見ていると、教師としての関わり方や声掛けの仕方等、意識して出来るようになります。

 子ども一人ひとりの発達過程を大切にしていきながら、自立へとつなげていけるように心がけていきたいと思います。そして、子どもから学ぶ事を忘れずに、私自身も教師として成長し続けていきたいと思います。

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